Wowza Streaming Engine のインストールとセットアップ
Wowza Streaming Engine とは
Wowza Streaming Engine は Wowza Media Systems が開発しているストリーミングサーバーのソフトウェア製品です。 ビデオ・オンデマンドやライブのビデオストリーミングのためのプラットフォームの構築に利用することができます。 MPEG-DASH, Apple HTTP Live Streaming (HLS), Adobe RTMP など主要なストリーミング プロトコルに対応し、 同時に、ビデオチャットなどに用いられる遅延の少ない WebRTC のようなプロトコルにも対応します。
Java VM 上で動作するプラットフォームで、Windows/macOS/Linux の各 OS で動作します。 オンプレミスのデータセンターだけでなく、各クラウド上の仮想マシンやコンテナーで動作させることもできます。
この記事では、Ubuntu Linux にインストールし、ビデオ・オンデマンド ストリーミングの動作確認をします。
Wowza Streaming Engine のインストール
Wowza Streaming Engine のトライアルライセンスの入手
Wowza Streaming Engine を動作させるにはライセンスキーが必要となりますが、 Wowza Media Systems ではトライアル用のライセンスを無料で提供しています。
Wowza Streaming Engineのトライアルでは、以下を提供します。
- 最も安定しスケーラービリティの高いビデオストリーミングのためのソフトウェアを提供
- ライブ、ビデオ・オンデマンドのための REST/Java API を提供
- フル機能を提供する30日間のトライアル
こちら から Wowza アカウントを作成し、 トライアルに参加することができます。 登録が完了すると、メールが届き、ライセンスキーを入手することができます。
Wowza Streaming Engine のダウンロード
次に Wowza Streaming Engine ソフトウェアをダウンロードします。 先ほど、登録した Wowza アカウントを使って、Wowza Portal にログインし、 [Downloads] タブから Linux 用のインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードした Linux 用インストーラーのファイル名は WowzaStreamingEngine-4.8.21+6-linux-x64-installer.run
です。
Ubuntu Server への Wowza Streaming Engine のインストール
Ubuntu Server Linux がインストールされているコンピューターにインストールします。 この記事では、記事作成時の最新の LTS (Long-Term Support) 版の Ubuntu Server 22.04 LTS を使います。
以下のコマンドを実行して、ダウンロードしたインストーラーを使ってインストールを行います。
- [WSE_USERNAME]: 管理 UI へのログインのユーザー名を指定します
- [WSE_PASSWORD]: 管理 UI のログイン ユーザーのパスワードを指定します
- パスワードに指定可能な文字は、英数字と4種類の記号 (@ . _ -) になります
- [WSE_LICENSEKEY]: Wowza Streaming Engine のトライアル用ライセンスキーを入力します。
chmod +x WowzaStreamingEngine-4.8.21+6-linux-x64-installer.run
./WowzaStreamingEngine-4.8.21+6-linux-x64-installer.run --prefix /usr/local \
--username [WSE_USERNAME] --password [WSE_PASSWORD] --licensekey [WSE_LICENSEKEY]
以下のメッセージが表示されたら、セットアップウィザードに従ってインストールします。 インストールパラメーターはコマンドラインで指定しているため、[Enter] キーを押していけば進められます。
----------------------------------------------------------------------------
Welcome to the Wowza Streaming Engine Setup Wizard.
----------------------------------------------------------------------------
Please read the following License Agreement. You must accept the terms of this
agreement before continuing with the installation.
Press [Enter] to continue:
以下のメッセージに [Y] キーを入力してインストールします。
Start Wowza Streaming Engine automatically [Y/n]: Y
> 自動的に Wowza Streaming Engine を起動しますか?
Do you want to continue? [Y/n]: Y
> 入力した情報でインストールを継続しますか? (インストール前の最終確認)
Wowza Streaming Engine へのネットワーク接続確認
Wowza Streaming Engine をインストールすると、以下の Java コンポーネントが動作します。
- Wowza Streaming Engine: ストリーミングサーバー本体
- Wowza Streaming Engine Manager: ストリーミングサーバーの管理のためのウェブサービス
Wowza Streaming Engine はインストール後の既定の構成では、それぞれのコンポーネントで以下のポート番号を利用します。 インストールした環境に合わせてファイアウォールの設定を行ってください。
ポート番号 | プロトコル | コンポーネント | 概要 |
---|---|---|---|
1935 | TCP | Wowza Streaming Engine | ストリーミング用の既定のポート |
8086 | TCP | Wowza Streaming Engine | 管理インターフェス用の既定のポート |
8087 | TCP | Wowza Streaming Engine | REST API 用の既定のポート |
8088 | TCP | Wowza Streaming Engine Manager | 管理ウェブサービス用の既定のポート |
Wowza Streaming Engine に正しくアクセスできるかどうか、以下のコマンドを実行することで確認できます。
curl http://[hostname or ip address]:1935/ServerVersion
curl http://[hostname or ip address]:8086/ServerVersion
正しくアクセスできた場合は、以下の出力が確認できます。
<html><head><title>Wowza Streaming Engine 4 Trial Edition (Expires: Apr 15, 2023) 4.8.21+6 build20230125151621</title></head><body>Wowza Streaming Engine 4 Trial Edition (Expires: Apr 15, 2023) 4.8.21+6 build20230125151621</body></html>
Wowza Streaming Engine をインストールすると、ビデオ・オンデマンド (vod
) とライブ (live
) のタイプの
単一サーバーアプリケーションがインストールされますので、これを利用します。
その他のアプリケーションタイプが用意されており、スケーラービリティの高い構成を行うこともできます。
Wowza Streaming Engine の管理 UI (Wowza Streaming Engine Manager) へのアクセス
Wowza Streaming Engine をインストールすると、管理のためのウェブサービス (管理 UI) もインストールされます。 ブラウザーで以下のURLにアクセスし、設定した管理 UI のユーザー名とパスワードでログインすると、管理画面が表示されます。
http://[hostname or ip address]:8088/
外部公開のホスト名・IPアドレスの設定
インストールした環境がクラウド環境やコンテナ環境の場合、ホストのIPアドレスと外部に公開されているIPアドレスが異なる場合があります。 この場合、以下のコマンドを実行して VHost.xml を書き換ることで、管理 UI のトップ画面で [Test Player] ボタンを押した際に、 外部公開のURLが正しく表示されるようになります。
sudo mv /usr/local/WowzaStreamingEngine/conf/VHost.xml /usr/local/WowzaStreamingEngine/conf/VHost.xml.old
sudo xmlstarlet edit --update "/Root/VHost/Manager/TestPlayer/IpAddress" --value "[hostname or ip address]" /usr/local/WowzaStreamingEngine/conf/VHost.xml | xmlstarlet format -t > /usr/local/WowzaStreamingEngine/conf/VHost.xml.new
ビデオ・オンデマンド サンプルコンテンツの再生
インストールした Wowza Streaming Engine には、<install-root>/content
フォルダにサンプルコンテンツが含まれています。
HTTP 経由でサンプルコンテンツの再生を行います。
サンプルコンテンツの再生 URL は、管理 UI のトップ画面で [Test Playback…] ボタンを押すと表示されます。
- HLS: <http://[hostname or ip address]:1935/vod/mp4:sample.mp4/playlist.m3u8>
- MPEG-DASH: <http://[hostname or ip address]:1935/vod/mp4:sample.mp4/manifest.mpd>
- RTMP: rtmp://[hostname or ip address]:1935/vod/mp4:sample.mp4
- RTSP: rtsp://[hostname or ip address]:1935/vod/mp4:sample.mp4
注意: インストール直後の状態は、HTTPS (TLS) サーバー証明書の発行・設定を行っていないため、HTTPS 経由で再生することはできません。 別の記事で、TLS 証明書の設定方法を紹介します。
Wowza Test Player で HTTP のサンプルコンテンツは再生できないため (以下の注意点を参照)、 この記事では、オープンソースの Web プレイヤー (http://testplayer.demo.liveinstantly.cloud/) を 使って、HLS, MPEG-DASH のコンテンツの再生を確認します。
注意: Wowza Test Player 以外にも様々な組織や企業が提供しているほとんどの Web ベースのテスト用ストリーミングプレイヤーは HTTPS でホストされていますが、ほぼすべてのブラウザーが HTTP/HTTPS 混在のウェブコンテンツのブラウジングを許可しないため、 それらのプレイヤーでは HTTP コンテンツの再生ができません。
また、VLC メディアプレイヤー を使うと、HLS, MPEG-DASH 以外にも、RTMP/RTSP の 各ストリーミングプロトコルの再生確認ができますので、VLC メディアプレイヤー も 使って確認します。
メニューバーから [Media] -> [Open Network Stream…] を選択し、以下の URL を入力して再生することができます。